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7.62016
スイスの公用語は英語じゃない!特殊な言語環境の背景とは!?
「スイスは、スイス語を話すの?」
「赤十字や国連欧州本部などの国際機関が多くあるし、スイスの母国語って英語?」
スイスで暮らしていると、
日本にいるお友達から、こんなことを聞かれたことはありませんか?
なんと、スイスの公用語は 1 つではなく、
地域によって話す言語が異なるという とても特殊な言語環境です。
そこでこの記事では、「スイスの公用語」をテーマに、
- スイスで話される言語の分布
- なぜ公用語が複数あるのか
- スイスで英語は通じるか?
について、一つ一つ見ていきたいと思います。
スイスの公用語は何語?
スイスの公用語は、- ドイツ語
- フランス語
- イタリア語
- ロマンシュ語
の、なんと 4 つ!
エリア別の 言語分布図 を見てみると、

※ 2012 年のデータ
【参照:スイス連邦統計局 http://www.bfs.admin.ch/】
そして、それぞれの言語を話す人の割合は、

- ドイツ語 (64.9%)
- フランス語 (22.6%)
- イタリア語 (8.3%)
- ロマンシュ語 (0.5%)
※注 ) 2 ヶ国語以上話す人や、他の言語を移民なども含めているため、
割合の合計は 100 % にはなっていません。
図やグラフを見ての通り、圧倒的にドイツ語を話す人が多いですが、
実はドイツで話されている標準ドイツ語とは違って、
ドイツ語が強く訛った「スイスドイツ語」が話されています。
スイスドイツ語は、州によっても訛りが異なるので、
スイス人同士で会話をすれば、どの地域の出身かがだいたい分かるほど!
さらに、田舎の地域になると訛りが強すぎて、
スイス人同士でも理解できないこともあるというのだから、驚きです💦
なぜ公用語が 4 つもあるの?

- 公用語を 1 つに統一することが難しい
- 消滅の危機にある、ロマンシュ語を守る
ためです。
スイスは、
北にドイツ、西にフランス、東にオーストリアと、リヒテンシュタイン、南にイタリアと、
国境を接している内陸国。
交通網が発達していなかった頃は、アルプスの向こう側の地域に住む人達との交流がなかったので、
それぞれの土地で話す言語が定着していったのですが、
それを今から一つの言葉に統一することは、対立が予想されるため、とても難しいのです。
また、ロマンシュ語は、今では一部の村でしか話されていない 消滅危機言語 の一つ。
公用語から外れれば、言葉を受け継ぐ人がいなくなり、消滅することが危惧されているのです。
公用語が4つとは言え、全ての言語を話せるのかというとそうではなく、
実際には、自分が生まれ育った言語圏に留まって生活する人も多いので、
その言語しか話せない人も多いです。
スイスで英語は通じるの?
スイスでは小学校から、- 住んでいる地域の言語以外の 公用語
- 英語
言語教育に力を入れているだけあって、
公用語の 2 言語と英語の、合計 3 言語を流暢に話せる人は、とても多いです。
また、観光地のホテルやレストラン、お店などになると、
「英語が話せること」が雇用条件であることが多いので、英語はほぼ通じます。
また、外資系の会社が集まる都市 ( チューリッヒ、ルツェルン、ツーク、バーゼル、ジュネーブなど ) も、英語を話せる人は圧倒的に多いですね。
私の実体験では、
駅の窓口、車掌さん、銀行、ホテル、お土産屋さん、観光案内所、観光施設の受付、
( 観光地の ) レストランなどでは、問題なく英語が通じました。
・・逆に、観光客がほとんど来ないような田舎の村となると、
簡単なあいさつや道を教えるくらいはできても、
込み入った話となると、伝わらなくなる状況がでてきます。
さいごに
スイスは日本の九州ほどの大きさの国ですが、その小さい面積で、4つの言語が公用語とされているというのは、よく考えたらすごいことですよね。
スイス内を電車で移動するときに、言語圏をまたぐと、
車内表示と車内アナウンスの言語が突然切り替わるという、
不思議な体験ができるのも、スイスならでは!です。
スイス国内を移動するときには、
そんなところにも、注目してみると面白いですよ🚄
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