スイスで森の幼稚園に通っている息子ですが、気温が上がってくると、先生から口を酸っぱくして注意を促されるのが、マダニ対策

森に入るときは、長袖・長ズボン、帽子を被る、マダニ防止スプレーをするなど、基本のマダニ対策は欠かさないものの、1日数時間を森で過ごしていることもあって完全に防ぐのは難しく、実は息子はこれまでマダニに噛まれたことがあります。
しかも、1度や2度ではない。。

もちろん最初は、青ざめながら病院にかけつけたものですが、

マダニに噛まれたからといって、病気に感染するとは限らない!
家庭で適切な処置をすれば、感染の可能性を下げることができる!

ということを、病院の先生や緊急医療相談で専門家から受けたアドバイスから分かった今では、
無用におびえることはなくなり、冷静に対処できるようになりました。

そこで今回の記事では、私と息子の実体験を元に、

  • マダニに噛まれているのを見つけた時に、まずするべきこと
  • 病院に行くかどうかの判断基準
  • 家庭で様子をみる場合の観察ポイント

について、まとめました。

今まさに、我が子がマダニに噛まれているのを見つけて、震えながらこの記事を読んでくださっているあなたの不安を、少しでも取り除けることができれば幸いです。


子供が森でマダニに噛まれた!家庭での対処方法と経過観察のポイント

マダニに噛まれているのを見つけた時にまずするべきこと

  1. 清潔なピンセットでマダニを取り除く
  2. マダニに噛まれた場所を消毒する
  3. マダニに噛まれた日付、箇所を記録しておく

日本では、下手に自分で取るよりも病院の先生に取ってもらうように勧められていますが、スイスではすぐに自分で取りのぞきます。

というのも、

マダニに噛まれている時間が長いほど、
初夏脳炎、または初夏脳髄膜炎(FSME…Frühsommer- Menigoenzephalitis)や、ボレリア症(Borreliose、別名ライム病)への感染の可能性が高まる


と言われているからです。


脳炎ウイルスは、マダニの口の唾液腺に潜伏するので、
ウイルスを持っているマダニに噛まれた時点で感染の可能性はありますが、接触している時間が長ければ長いほど、より危険が増します。

また、ボレリア症(ライム病)の細菌は、マダニの腸に潜伏するので、噛まれてから約12~ 24 時間経過後に感染の危険性が高まります。
これは、血を吸い始めてからマダニの体で代謝が起こり、細菌が唾液腺に到達するのに最短で 12 時間かかると言われているためです。

(※参考文献:https://www.zecken.de/de/zecken-entfernen)


とにかく、マダニを見つけたらできるだけ早く取り除くのが、感染の可能性を減らす第一歩!!
マダニは、ピンセットか、先が細めの毛抜きを使って取ります。


ピンセットを使ったマダニの正しい除去方法

ポイントは、

  • できるだけマダニの頭の先をピンセットで挟む
  • まっすぐにゆっくりと引き抜く

マダニの体は、頭部と腹部の2部でできているので、腹部をつかんで引っこ抜くと、引きちぎれて頭部が皮膚の中に残ったままになることがあります。
こうなると、もう一度取り除くのはとても難しいです。

なるべく1回で全部取り除けるよう、マダニの頭の部分をやさしく挟んで、まっすぐに引き抜きましょう。

分かりやすい動画はこちらです👇



私の経験からは、力加減もポイントです。
力を入れすぎるとマダニがつぶれるので、ピンセットで引き上げた時に、皮膚も一緒に持ち上がるのを確認しながら、少しずつ力を入れていきます

プチっという音と共にきれいに取れたら、マダニをしっかり処分します‼


万が一、一人で取るのが難しい場所(頭皮とか)にマダニがいた場合は、他の人に協力してもらうなどして、必ず取り除きやすい状態にしてください。
頭なら、他の人に髪の毛を抑えてもらって、マダニの体がきちんと見える状態にする方が、断然取り除きやすくなります。


また、マダニがいる部位に油やアルコールなどをかけて、マダニが自分から離れるようしむける方法が紹介されていることがありますが、効果がないばかりか、マダニが苦しんだ時の体の危機反応で病原菌を放出するなど、かえって病気に感染する危険を高める行為だと警告されています。

民間療法的なやり方は大変危険なので、絶対にやめてくださいね!!


もしもの時にすぐに対処できるように、マダニ取り用のピンセットをバッグに入れておくと安心です。



マダニに噛まれた場所を消毒する

マダニを取り除いたら、噛まれていた部分を消毒します。
できれば、医療用の消毒スプレーがおすすめです。

日本なら消毒用エタノール、スイスならMerfen の消毒スプレーを1本常備しておくといいですね。
たいていの Apotheke や Drogerie で手に入ります。



マダニに噛まれた日付、箇所を記録しておく

マダニ由来の感染症は、数日間~数週間の潜伏期間の後に、症状が出るものもあります。

マダニに噛まれた日や場所を記録しておくことで、どれくらいの期間子供の様子を観察すべきかが分かりますし、万が一、子供の様子に変化があった場合に、病院に状況を報告しやすくなります。



病院に行くかどうかの判断基準

  • マダニに噛まれた箇所が腫れている、赤みが広がっている
  • マダニを取り除いたが、頭部の一部、もしくは口角が皮膚に残っている
  • 子供の様子がいつもと違う

マダニに噛まれた箇所が腫れている、赤みが広がっている

マダニに噛まれた場所は、血を吸われていたわけなので、多少なり皮膚は赤くなります。

通常は、赤いペンの先のインクがついたくらいの点状の赤みですが、
明らかに腫れていたり、赤みが広がっている場合は、病院にかかることをおすすめします。

ただ、腫れの原因がマダニ由来の感染症の他に、アレルギー反応を起こしている可能性もあります。
これは私の息子ではなく友人の体験談ですが、マダニに噛まれた場所が直後に赤く腫れ、すぐに病院で検査をしたら、突発性のアレルギー反応だったようです。

蚊に咬まれたら赤く腫れる人によくある傾向のようですが、素人判断は大変危険なので、必ず病院で診てもらってくださいね。


マダニを取り除いたが、頭部の一部、もしくは口角が皮膚に残っている

これはすぐに病院に行くというよりは、病院に電話をして指示を仰ぐ、という方が正しいです。

実は、息子のお腹についていたマダニを取り除くのに失敗して、マダニの一部が皮膚の中に残ってしまったことがありました。
(見た目は黒い小さい点。)
小児科が閉まっている時間だったので、緊急医療相談に電話して状況を説明すると、


皮膚の中に入っているものは、病院に行っても処置できない。
無理やり皮膚を切って取り除くのは、別の感染症の危険もあっておすすめしません。
 
皮膚の中に入った異物は、体が出そうとして数日で取れるので、数日間様子をみて。
もし、腫れてくるなどの症状が出た場合は、その時に病院に行ってください。


と言われました。

自分が取り除いたことを、多少なり後悔しましたが、こう言われるともう仕方がない・・。

毎日お腹を確認しては安堵する、という日を過ごし、、1週間くらいたったある日!
ふと見ると、黒い点が消えていました!!
本当にいつのまにかポロッと落ちたようです。 良かった・・><

幸い息子の場合は事なきを得ましたが、
マダニの一部が皮膚の中に残った場合は、完全に取り除かれるまでは、気長に待つしかありません。
気になるからと、ヘタにいじるのもやめた方がいいと思います。


子供の様子がいつもと違う

マダニ由来の感染症のうち、ライム病は、噛まれた場所を中心にリング状の紅斑ができるという特徴的な症状が出るほかに、発熱・頭痛・筋肉痛・倦怠感などの症状があらわれます。

また、初夏脳炎の場合は、数日~2週間の潜伏期間の後に、発熱や頭痛などの症状が出てきます。

どちらも症状としては風邪の初期症状に似ていますが、子供の年齢によっては、うまく体調を伝えられないこともあります。
やたらぐずるようになったり元気がなかったりなど、いつもと違う様子を見せたら、小児科に相談することをおすすめします。



家庭で様子をみる場合の観察ポイント

  • マダニに噛まれた箇所は、その後 1 ヵ月間毎日チェックする
  • 子供の体調の変化に気を付ける


まずマダニに噛まれた箇所は、その後最低1ヶ月間は毎日、皮膚の様子を確認します。
マダニを取り除いた時に、体の一部が皮膚の中に残ってしまった場合は、特によく見てあげてください。


マダニの感染症は、皮膚の異常など目に見えるものの他に、発熱、頭痛、筋肉痛、倦怠感なども症状として出ることがあります。
そしてこれらの症状は、マダニ自体の感染力や噛まれていた時間の長さ、子供の体調によって、症状が出るまでの時間に個人差があります。

風邪かも?と見過ごさないためにも、刺された日から1ヶ月後に印をつけるなどして、常に気に留めるようにするのも早期発見の大切なポイントです。

食欲が落ちたり元気がなかったり、ちょっといつもと様子が違うな、と気になることがあったら、かかりつけの小児科に相談してくださいね。

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